福留開発様 事例
360°の映像で閲覧者それぞれの「見たい」に応えるバーチャル現場見学会
目次
1.概要
福留開発株式会社様では、道路や橋、水道といった社会資本の整備はもちろん防災事業、災害復旧事業など、地域社会の安心安全に不可欠な土木事業を幅広く手掛けられています。
より安全に効率的な工事を実現していく上で、福留開発様が注力されているのがICTの活用です。早くからICT活用に着手され、新しい技術を次々と現場へ導入。先進的な工法を内製で行われていることなどが評価され、i-Construction大賞を2度(優秀賞、四国地方整備局長賞)受賞されています。
工事のプロセスだけではなく、現場見学会においてもICT化を進められています。2023年11月には、現場と国土交通省をつないだバーチャル現場見学会を実施されました。
リモートの見学会では、どうしても現場側の「見せたいもの」が中心になりやすいところ、閲覧者の「見たいもの」にも柔軟に応えていくため、RICOH Remote Fieldを導入。現場から配信される360°の映像を、閲覧者それぞれが好きな画角で見られるバーチャル現場見学会を実現し、国土交通省より高い評価をいただきました。
2.課題と効果
【導入前の課題】
- 閲覧者の「見たいもの」に柔軟に対応できる方法を探していた。
- 現場の負担を最小限に抑えたかった。
- リモートでの開催は初めてで、参加者に満足いただけるか心配だった。
【導入後の効果】
- それぞれの閲覧者が好きな画角で現場を見ることができる。
- 現場にRICOH THETAを固定することで、360°の映像を手軽に配信できる。
- 臨場感のあるバーチャル現場見学会を実現し、国土交通省より高い評価をいただくことができた。
3.選定のポイント
- 360°の映像をリアルタイムに配信できる。
- 閲覧者側で画角を自由に操作できる。
- 様々なブラウザーや端末と互換性がある。
4.導入の背景と効果
ICT活用に早くから取り組まれていたそうですね。
社長をはじめ、当社には好奇心旺盛なメンバーが多く、新しい技術をどんどん取り入れてより良いものを生み出していこうという社風があります。ICT活用については、国土交通省がi-Constructionを正式に表明する少し前から本格的に着手し、2016年に高知県内では初となるICT活用工事を実施しました。以来、ノウハウを社内で積み上げ様々なICT施工を内製で行っています。こうした取り組みが評価され、令和元年度にi-Construction大賞 優秀賞を受賞、続く令和3年度には i-Construction大賞 四国地方整備局長賞をいただきました。
RICOH Remote Fieldを導入された背景を教えてください。
近年、国土交通省の主導で現場見学会が全国で行われています。これは、各地方整備局がそれぞれの管轄地域において特に先進的な事例を1件選び、全国で共有しようという取り組みです。今年度、四国地方整備局の管轄地域においては当社が選ばれ、南国安芸道路西分高架橋下部の工事でバーチャル現場見学会を行うことになりました。
当社が選ばれたことに驚きもあったのですが、選んでいただいたからには、皆さんの期待を超える形で実現したい、と。国土交通省より「現場を自由に見られるようにしたい」という要望を受け、それを叶える最適なツールを検討し、RICOH Remote Fieldを活用することにしました。
バーチャル現場見学会を行った工事について教えてください。
現場は、高知東部自動車道に含まれる南国安芸道路を整備する工事の一部となります。安芸道路が完成することで、四国の高速交通ネットワークが整備され、国道55号の渋滞緩和、高度医療施設へのアクセス向上、緊急輸送ネットワークの強化といった効果が期待されています。バーチャル現場見学会を行ったのは、南国安芸道路の芸西地区にて、道路の土台となる橋脚を建設する工事となります。この現場には、実際の現場に3Dモデルを重ねるARや、運転席のモニターから掘削深度や勾配が確認できる杭ナビショベルなど様々なICTが随所に導入されています。これらの技術を位置関係も含めて臨場感をもって伝えるために、現場にRICOH THETAを固定し、360°映像を配信しました。
RICOH Remote Fieldを活用して良かった点を教えてください。
一番良かったのは、現場から360°の映像をリアルタイムに配信し、閲覧者側で画角を自由に操作できる点です。私たちがカメラを持って現場を回る形では、どうしても私たちが「見せたいもの」が中心となり、閲覧者の「見たいもの」に柔軟に対応するのは困難です。閲覧者一人ひとりの「見たいもの」に応えようと思ったら、カメラの台数、現場で対応する人数とも膨らみ、現場・閲覧者間のやり取りはかなり複雑になってしまうでしょう。その点、RICOH Remote Fieldは、現場にRICOH THETAを固定することで手軽に360°の映像を配信できます。360°カメラ用に人を用意する必要がないので現場の負担は軽減されますし、閲覧者側も好きな画角で映像を見ることが可能になります。
バーチャル現場見学会を実施してみていかがでしたか?
3初めてのバーチャル現場見学会ということもあり、構成や演出に試行錯誤する中で、RICOH Remote Fieldに関しては、現場にRICOH THETAを設置すれば基本的な準備は完了するので大変助かりました。閲覧方法がシンプルだったのも良かったところです。幅広い端末やブラウザーと互換性があるため、今回のバーチャル現場見学会では、国土交通省の本省、四国地方整備局、土佐国道事務所のそれぞれの事務所から、お手元のタブレットを使って現場の様子をご覧いただきました。
国土交通省の皆様からの反響はいかがですか?
大変高い評価をいただくことができました。映像が鮮明で現場の様子が分かりやすかった、といったご感想を皆様よりいただいています。これらの反響を社内で共有し、さらなるレベルアップや、他現場への横展開、子供たち向けの現場見学会への応用にもつなげていけたらと思っています。
現場見学会以外で、RICOH Remote Fieldを活用される可能性はありますか?
安全パトロールでの活用は、検討してみたいと思っています。現在は現地へ赴いて行っていますが、これを遠隔で見落としなく実施しようと思うと、360°の映像は必須だと思うのです。今回、現場見学会で360°映像の効果を体感したことで、遠隔での安全パトロールが現実味を帯びてきました。もっと他の用途にも使ってみたいので、今後のさらなる活用に向けては、リコーさんのアイデアや知見、ご提案にも期待しています。
5.お客様プロフィールと導入ソリューション
福留開発株式会社様
http://www.fukudome.co.jp/■会社所在地
高知県高知市南宝永町19番11号
■事業内容
- 土木建設業:トンネル、河川、造成、道路改良、維持補修(橋・トンネル)、橋梁工事(上部・下部)、上下水道
- 太陽光発電事業
■従業員数
93名(2023年5月現在)