独立行政法人国立病院機構 浜田医療センター附属看護学校様 事例
看護師視線・患者視線・空間全体の映像をライブ配信。
臨場感のある遠隔授業を実現しながら、教員の働き方改革にも貢献
目次
1.概要
少子高齢化や医療の発展に伴い、看護学校の学生に求められる習得量も増加。看護教育の現場では、教員数も時間も限られている中で、多様な基礎看護技術をどのように学生たちに教えていくかが課題となっています。浜田医療センター附属看護学校様では、この課題を改善していくためにRICOH Remote FieldとRICOH Collaboration Boardを組み合わせたDXに取り組まれています。
看護師の繊細な手技を学生に細部まで見てもらうため、スマートグラスで撮影した看護師視線と患者視線、さらに、RICOH THETAで撮影した360°映像をRICOH Remote Fieldでライブ配信。学生が手元のパソコンや大型電子ホワイトボードRICOH Collaboration Boardでリアルタイムに映像を視聴し、画面を拡大したり360°映像の画角を自由に変更しながら、看護師の動きを疑似体験できる仕組みを構築しています。
95%以上の学生が、臨場感のある授業で学習が明確化され、85%以上の学生が満足と回答しました(※1)。また、撮影や編集の負荷が大きかった教材作成は大幅に効率化され、教員の教材作成にかかる負担は約77%削減されました(※2)。学生たちの学びを促進しながら、教員の働き方改革にも貢献するDXを実現されています。
浜田医療センター附属看護学校および協力校による検証結果より抜粋
※1 参加学生(回答数:233名/265名(回答率87.9%))へのアンケート結果より
※2 授業実施教員への聞き取り調査(教員への半構成的面接法)より
2.課題と効果
【導入前の課題】
- 学生に求められる基礎看護技術の習得量の増加に伴い、授業を充実させる必要がある。
- 教材作成にかかる教員の負担が増加している。
- 細かな手技を教えるには、数人単位で手本を見せる必要がある。
【導入後の効果】
- 看護師の動きを細部まで疑似体験できる授業に、85%以上の学生が満足と回答している。
- 教材作成が大幅に効率化され、教員の教材作成にかかる負担は約77%減となった。
- 映像を通じて同時に約40人、協力校も含めると約100人が看護師の動きを疑似体験し、手技を学ぶことができる。
3.選定のポイント
- 看護師視線・患者視線・空間全体の映像を1つのディスプレイに並べて表示できる。
- 画像が鮮明で、血管の位置や色など細部まで確認しやすい。
- 操作がシンプルで汎用性も高い。
4.導入の背景と効果
浜田医療センター附属看護学校の概要を教えてください。

当校は、全国140の病院が所属する国立病院機構附属の看護学校です。全国に広がるネットワークを活用して、学生一人ひとりに多様な学びの機会を提供し、実践的な技術と知識を育んでいくことを目指しています。国立病院機構附属ならではの充実した実習環境に加えて、地域の特性を活かしたコミュニケーション能力の育成、卒業後も続くキャリア支援、そして、ICT教育も当校の特色の一つです。ICT教育については、約20年前からアプリの開発やeラーニングを実践しており、令和6年には厚生労働省の「看護現場におけるデジタルトランスフォーメーション促進事業」に選定されました。
なぜ看護教育の現場でDXが求められているのでしょうか?
少子高齢化や医療の発展に伴い、看護学校の学生に求められる習得量も増加しています。ただ、教員の人数や時間は限られており、どのように授業を充実させ、多様な基礎看護技術を効率的に習得できるようにするかが課題となっています。当校では、教員が手分けをして授業を補う映像も作成してきましたが、撮影や編集作業の負荷が大きいことに加え、臨場感のある教材作成は困難です。授業の充実と教員の負荷削減は、全国の看護学校に共通する課題となっており、本校だけでなく他校も取り入れやすい方法でDXを実現できたらと考えていました。
RICOH Remote FieldとRICOH Collaboration Boardを採用した決め手を教えてください。
看護師の視線の動きや手技を学生に疑似体験してもらうには、看護師視線・患者視線・空間全体という、複数の視線から見たリアルタイムの映像が不可欠です。また、血管の位置・色など細部まで確認するには高画質であることが必須ですし、映像を拡大したり画角を変えられる柔軟性も必要です。
RICOH Remote Fieldは、複数の視線・リアルタイム・高画質・柔軟性という私が求めていた機能を全て備えていました。RICOH Collaboration Boardと組み合わせれば、これらの映像を手軽に大画面で共有できることも魅力的で、両方をセットで導入することにしました。
どのように活用されているのですか?
静脈点滴中の患者の寝衣交換、静脈採血法、医療安全、筋肉内注射などの授業で活用しています。
看護師(教員)と患者役の学生がスマートグラスを装着。さらに、ベッドや実習室の脇にRICOH THETAを設置して授業をスタート。スマートグラスによる看護師視線・患者視線の映像と、RICOH THETAによる360°映像を、RICOH Remote Fieldでライブ配信しています。学生は、それらの映像を手元のパソコンやRICOH Collaboration Boardでリアルタイムに視聴。学生それぞれが自分の見たい場所を拡大したり、360°映像の画角を自由に変えながら、看護師の動きを疑似体験できるようにしています。
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スマートグラスを看護師と患者役の学生が装着 -
手元の端末から看護師視線・患者視線の映像を視聴
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RICOH THETAで空間全体を撮影 -
RICOH Collaboration Boardに看護師視線・患者視線・空間全体の映像を並べて表示
協力校との合同オンライン授業にも活用されているそうですね。
はい。本校と同じ映像を、遠方にある協力校でもリアルタイムに見ることができるのは、アプリケーションをインストールする必要がなく、様々な端末から手軽にアクセスできるRICOH Remote Fieldならではのメリットですね。2校の学生がともに授業に参加し、意見交換ができるようになりました。

RICOH Remote FieldをRICOH Collaboration Boardとセットで使用する利点を教えてください。
単独で用いるよりも、授業の進行がスムーズになります。RICOH Collaboration Boardは、Windows OSが採用されおり、パソコンとつながなくてもRICOH Remote Fieldの画面を直接開けるのは助かります。また、RICOH Collaboration Boardはタッチ操作が可能なため、詳しく見たい部分に触れて映像を拡大したり、書き込んだりしながら話すことで、学生同士のディスカッションが活発になる相乗効果も生まれています。
導入により授業はどのように変わりましたか?
従来の方法で、看護師の手元まで学生に見せようと思ったら、一度に教えられるのは数人程度。そのような人手や時間がかかる授業を、RICOH Remote Fieldを使うことで、一度に40人規模、オンラインで参加している協力校も含めれば100人規模で行えるようになりました。
学生の満足度は85%以上を実現。教員の負担は約77%削減を実現されているそうですね。
はい。学生の満足度は想像以上に高いです。アンケートの結果95%以上が内容を理解できた、不明点が分かるようになったと回答し、引き続きこのシステムを使いたい、繰り返し学びたいという学生も85%以上に達しています。
一方で、教員の教材作成にかかる負担は、従来と比べて約77%も削減されました。以前は、教材用の映像の撮影や編集作業に人手も時間もかかっていましたが、現在は、RICOH Remote Fieldの録画機能を活用することで、教材制作の手間が大幅に削減されています。映像が高画質である上、看護師の音声も入っているため編集はほぼ不要。そのままの状態で質の高い教材になります。授業後は、映像をeラーニングシステムにアップして、授業の予習・復習に活用できるようにしています。
授業を充実させながら、教員の働き方改革にも貢献できる、しかも操作がシンプルで活用しやすい、目指していたDXを実現することができました。
今後の活用についてお聞かせください。
RICOH Remote Fieldは操作がシンプルなので、本校に限らず他校も取り入れやすいと思います。また、汎用性の高さを活かし、医師、薬剤師、検査技師の教育など、様々な場所や目的で柔軟に活用できる可能性も感じています。今後は、本校の取り組みを様々な形で発信し、医療現場の教育の充実や、教員の負担軽減、働き方改革に貢献していけたらと思っています。
5.お客様プロフィールと導入ソリューション
独立行政法人国立病院機構 浜田医療センター附属看護学校 様
https://hamada.hosp.go.jp/hamakan/index.html■所在地
島根県浜田市浅井町777-12
■学校概要
昭和28年開設。全国140の病院と29の学校が所属する国立病院機構附属の看護学校。全国に広がるネットワークをはじめ下記4つの特色を強みに、実践的な技術と知識を備えた医療人材を育成。
浜田医療センター附属看護学校の4つの特色:
(1)国立病院機構附属の強み
(2)コミュニケーション能力を高める教育
(3)デジタルリテラシーの向上
(4)卒業後も考えたキャリア支援
■導入製品

■製品構成:
RICOH Remote Field
RICOH THETA
スマートグラス
RICOH Collaboration Board
本Webページ記載の企業名および製品名は、それぞれ各社の商号、商標または登録商標です。
本ページに掲載されている情報は、2025年2月現在のものです。