奈良県立医科大学付属病院高度救命救急センター様 事例
ドクターカーの医師とともにRICOH Remote Fieldも救急現場へ。
360°の現場映像や傷病者の状況をリアルタイムに病院へ配信目次
1.概要
奈良県立医科大学附属病院高度救命救急センターは、県内唯一の高度救急救命センターとして初療から集中治療管理まで幅広く対応できる体制を整えられています。病院前救護の充実にも取り組まれており、一刻も早く現場へ駆けつけるためドクターカーを運用。このドクターカーと病院をつなぐツールとして、RICOH Remote Fieldを活用されています。
ドクターカーの要請と同時に、救急隊、医師、看護師、そしてRICOH THETAもドクターカーに乗って現場へ出動。RICOH Remote Fieldでライブ配信を開始し、車内での情報共有から、現場到着後の状況確認、傷病者を乗せて病院に戻るまで、一連の状況を病院へ配信。病院側では360°の映像と音声をリアルタイムに確認しながら、傷病者の受け入れ準備を進めていきます。電話による情報共有では、現場への負担が大きく病院側で把握できる情報量も限られていましたが、RICOH Remote Fieldの活用により、現場と病院が密に連携し、早期の診断・処置へつなげることが可能に。若手医師のサポートや人材育成、知見の共有にも効果を発揮しており、今後は、医療現場における働き方改革への貢献も期待されています。
2.課題と効果
【導入前の課題】
- 傷病者の状態を電話で詳細に伝えるのは時間もかかり、現場での治療に影響が出る。
- 傷病者の受け入れ準備のため、病院側は現場の情報を早く知りたい。
- 若手医師をサポートし、人材育成につながるツールが欲しい。
【導入後の効果】
- 病院から傷病者の状況を360°の映像でリアルタイムに確認できる。
- より早く正確な情報共有が、早期の診療・処置に役立っている。
- 臨場感のある映像を振り返りに活用。人材育成、知見の共有が促進されている。
3.選定のポイント
- 操作が簡単ですぐに配信をスタートできる。
- 画質・音質が良く、重症感、切迫感まで共有できる。
- 現場を360°の視野で俯瞰し、総合的な判断ができる。
4.導入の背景と効果
奈良県立医科大学付属病院高度救命救急センターについて教えてください。
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当センターは、奈良県唯一の高度救急救命センターとして、県内全域から救急患者を受け入れています。病院前救護の充実にも取り組んでおり、その中心となるのがドクターカーとドクターヘリです。 特にドクターカーについては、ワークステーション方式をとっており、奈良県広域消防組合の救急隊が24時間体制で病院内に常駐しています。ですから、ドクターカー要請と同時に、救急隊と、当センターの医師・看護師が速やかに出動でき、同じ消防組合に所属する他の救急隊とも密に連携することが可能です。出動範囲は37市町村と非常に広く管轄人口は87万人、出動件数は年間1000件以上に及びます。ドクターヘリが運航できない夜間や山間部からの要請にも対応し、一人でも多く救命することを目標としています。
なぜドクターカーと病院を映像でつなぎたいと考えたのでしょうか。
救急救命の現場では、関係者間でいかに早く正確に情報を共有できるかが要となります。ドクターカーで現場へ向かう途中も、先に到着している他の救急隊と連絡を取り合い、その情報は逐次、車内の医師、看護師へ共有されます。ただ、病院側がその情報を得るには現場からの電話を待つほかありませんでした。救急現場に到着後は、傷病者の人数や容態を病院に伝える必要がありますし、搬送中も適宜状況を病院とやり取りすることが不可欠です。とはいえ、口頭で全てを伝えるのは難しく、傷病者が多いほど、症状が重篤であるほど、現場は逼迫し電話をする余裕はなくなっていきます。現場の医師からすれば、電話をする時間があるなら患者を診たい。でも、病院からすれば詳しい状況を踏まえて早く準備がしたい。どちらの立場になっても、もどかしい気持ちがありました。
RICOH Remote Fieldのどんな点に興味をもたれたのですか?
360°の映像をライブ配信でき、アングルを病院側で変えられる点です。傷病者の容態はもちろんですが、現場全体がどうなっているのかも見たいですし、誰がどんな処置を行ったかによっても、病院側の準備は変わってきます。以前から、救急科の医師や看護師たちと、360°の映像が見られたらいいのにと話していたところ、展示会でRICOH Remote Fieldを知りぜひ使ってみたいと思いました。
救命救急の現場で活用するツールとして重視した点を教えてください。
ボタンを押すだけで、すぐに配信をスタートできるところです。いくら良いシステムでも操作が難しければ現場で活用するのは困難です。 それから、画質と音質も重視しました。傷病者の様子を詳細に把握できれば、仮にバイタルの数値には問題なかったとしても‟このしんどそうな感じは何かある”といった緊急性を察知できます。感覚的な重症感、切迫感まで把握できるのは、 RICOH Remote Fieldの良いところですね。
RICOH Remote Fieldをどのように活用しているのですか?
ドクターカーの要請と同時に、救急隊がRICOH THETAをもってドクターカーへ。医師と看護師も乗り込んで現場へ出動、RICOH Remote Fieldによるライブ配信を開始します。 ドクターカー車内での情報共有の様子から、現場到着後の状況確認、傷病者を救急車に乗せて病院へ戻るまで、一連の状況を病院へ配信。病院側では360°の映像と音声で現場の状況をリアルタイムに確認しながら、傷病者の受け入れ準備を進めていきます。
【RICOH Remote Field 活用の流れ】①ドクターカーの要請
救急隊、医師、看護師が乗車し、RICOH THETA のスイッチをオン。
RICOH Remote Fieldによるライブ配信を開始。
↓
②現場へ出動
現場に先着している救急隊と連絡を取り合い情報収集。
↓
③救急現場へ到着
傷病者の人数、容態など現場の状況を確認。
↓
④救急車
傷病者を診断。搬送先の選定、救命処置。
↓
⑤病院へ搬送
救命処置を行いながら病院へ
↓
⑥病院
傷病者の治療を開始
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導入効果を教えてください。
まさに、百聞は一見に如かず、を実感しています。現場がどういう状態で、傷病者は何人いて、容態はどうなっているのか、また救急車内で誰がどう処置したのか、口頭だったら何分もかかってしまうやり取りを、ひと目で把握できるようになりました。その結果、電話でのやり取りが最小限となり、現場の負担は軽減。一方、病院側では、詳細な情報を元に的確な受け入れ体制を整えられるようになりました。 また、現場の医師だけではなく、病院側から360°の視野で全体を見るからこそ、冷静な判断ができたり、新たな傷病者がいる可能性などに気付けることもあると思います。
人材育成や知見の共有にも、RICOH Remote Fieldが役立っているそうですね。
はい。当センターには若手医師も多く、後期研修医でもOJTを終了して合格すれば、1人でドクターカーで出動する機会があります。そのようなキャリアが浅い医師が現場へ行く際には、先輩医師が病院から360°の映像で見守り、何かあればすぐに適切な指示ができるので、人材育成においても役立っています。
また、大事故や傷病者多数の事例では、RICOH Remote Fieldで録画した映像を元に、医師や看護師など職種を超えた振り返りを行っています。臨場感のある映像で細部まで見直せるようになったことで、知見の共有やスキルアップに繋がる、より精度の高い振り返りを行えるようになりました。
今後について教えてください。
RICOH Remote Fieldの映像をスマートフォンで確認する使い方もあると思います。 例えば、瓦礫の下に傷病者がいて、救急隊しか入ることができない状況でも、救急隊にRICOH THETAを持っていってもらえれば、現場近くで待機する医師も、スマートフォンから瓦礫の下の状況を確認し、医療器具もってすぐ側まで行った方が良いのか、瓦礫から運び出されるのを待って処置をした方が良いのか、いち早く判断できるようになります。 RICOH Remote Fieldは、医療施設の中で使うことで育っていくものだと思っています。これからも様々な現場で活用し、早期の診断・処置ができる体制の強化や、若手医師の育成、さらには、医療現場における働き方改革への貢献にも、効果を発揮してくれることを期待しています。
5.お客様プロフィールと導入ソリューション
奈良県立医科大学 様
https://necm.naramed-u.ac.jp/index.html/■会社所在地
奈良県橿原市四条町840番地
■事業内容
奈良県内唯一の高度救急救命センターとして、県内全域から救急患者を中心に受け入れている。病院前救護にも注力し、ドクターカー、ドクターヘリを運用。
■導入製品
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RICOH Remote Field
RICOH THETA
本Webページ記載の会社名および製品名は、それぞれ各社の商号、商標または登録商標です。本ページに掲載されている情報は、2025年1月現在のものです。