遠隔地の特別支援学校と専門家をリアルタイムにつなぎ地域間格差のない教育・支援の実現へ

 
※写真はイメージです

公立大学法人 島根県立大学 様

1.概要

公立大学法人 島根県立大学 特別支援教育学研究室 教授 西村健一先生は、障がいのある子供たちの自立や社会参加 をサポートする特別支援教育を専門に様々な研究に取り組まれています。
特別支援教育のニーズは全国的に高まっており、教育現場では西村先生のような専門家によるサポートがますます 必要とされています。ただ、中心部から離れた中山間地の学校を訪問するには片道3~4時間かかり、直接支援でき る機会はどうしても限られてしまいます。そこで、360°撮影できるRICOH THETAを搭載した自律走行式ロボッ トtemiを、遠隔地にある特別支援学校へ設置。現地に赴かなくてもRICOH Remote Fieldの画面から、子供たちの 学ぶ様子を360°の映像で細部まで確認し、現場の先生へリアルタイムにアドバイスができる仕組みを構築されて います。
専門家と現場の先生が物理的・時間的制約を超えて柔軟に連携していくことで、子供たちの成長を促進。地域間格 差の改善やウェルビーイングの向上にもつながっていくこの取り組みに、教育現場の先生からはもちろん教育委員 会からも高い関心が寄せられています。

2.課題と効果

【導入前の課題】

  • 中山間地の学校を訪問するのに片道3~4時間かかる。
  • リモートで子供たちの様子を細部まで把握するのは難しい。
  • 特別支援教育のニーズは高まっており、専門家のサポートを多くの学校が必要としている。

【導入後の効果】

  • 現地に行かなくても、大学から特別支援教育の現場を360°の映像で確認できる。
  • 教室全体を見渡せるほか、子供たちの指先や書いている文字まではっきり見える。
  • 専門家が子供たちの様子を細部まで把握し、現場の先生へ的確なアドバイスをしていくことで、子供たちの成長 が促進されている。

3.選定のポイント

  • 映像がクラウド上に残らずセキュリティレベルが高い。
  • 360°の映像を高画質で見ることができる。
  • リコージャパンのアフターサポートが充実している。

4.導入の背景と効果

西村先生の専門分野について教えてください。

西村 健一 様

公立大学法人 島根県立大学

特別支援教育学研究室
教授
西村 健一 様

profile

公認心理師 臨床発達心理士Ⓡスーパーバイザー
文部科学大臣奨励賞(第11回特殊教育学習ソフトウェアコンクール)
障害児教育財団理事長奨励賞(第12回特殊教育学習ソフトウェアコンクール)
専門的知見と20年以上におよぶ特別支援学校の教員としての現場経験を活かし、幅広い研究・取り 組みを展開

障がいのある子供たちの自立や社会参加をサポートする特別支援教育を専門にしています。その中でも、私が注力 しているのは中山間地や過疎地における取り組みです。
特別支援教育のニーズは全国的に高まっており、教育現場では専門的知見に基づいたサポートがますます必要とさ れています。この状況は都市部でも地方でも変わらない一方、地方にいくほど社会的資源が限られ、学校や子供た ちへのサポートの量・質には地域差が生じています。例えば、島根県では中山間地の学校を1校訪問するのに片道3 ~4時間かかり、現場を訪問して直接サポートができる機会はどうしても限られてしまいます。この状況を改善し、 日本中どこに住んでいても誰もが適切なサポートを受けることができ、子供たちとその家族が幸せになれる社会の 構築を目指しています。

RICOH Remote Fieldを導入した背景、決め手を教えてください。

遠隔地の特別支援学校を柔軟にサポートしていくには、ICTを活用しリモートで訪問していくことが不可欠です。 様々なツールがある中で、RICOH Remote Fieldを選んだ決め手はセキュリティレベルの高さです。映像がクラウ ド上に残らずローカルに保存されるので、これなら子供たちの個人情報を責任を持って守り切れると感じました。 子供たちとご家族、現場の先生にも安心していただけるよう、映像は外付けのHDDに保存した上で鍵のかかった ロッカーで保管しています。

360°の映像が配信できる点も決め手の一つだったそうですね。

はい。最初は自律走行式ロボットtemiを単体で使っていたのですが、撮影するためにロボットが子供たちの方に顔 を向けると子供たちが「見られている」と感じ、どうしても意識してしまうんです。ロボットでなく私が訪問して も子供たちははしゃいでしまうので、ロボットが来たらなおさらですよね。そこで、temiとRICOH THETAを組み 合わせて、なるべく子供たちを刺激せずに撮影する方法を考えました。 RICOH THETAは360°撮影できるのでtemiが被写体の方へ顔を向ける必要はなく、真後ろを向いている状態でも撮 影できます。子供たちに意識されることなく、自然な姿を高画質で撮影できるのは、RICOH Remote Fieldならで はの利点だと思います。

RICOH Remote Fieldをどのように使っているのですか?

RICOH THETAを搭載したtemiを特別支援学校へ設置し、大学から遠隔操作しています。RICOH Remote Fieldの画 面から、子供たちの様子を360°の映像で見て状況を細部まで把握。子供たちの学びがより深まるように、リアル タイムに現場の先生に改善点をアドバイスしたり、子供たちに声をかけるなどしています。

特別支援学校の教室
特別支援学校の教室
※写真はイメージです。
RICOH THETAを搭載したtemi
RICOH THETAを搭載したtemi
大学から子供たちの学ぶ様子をRICOH Remote Field で確認
大学から子供たちの学ぶ様子をRICOH Remote Field で確認

導入効果を教えてください。

遠隔地であっても子供たちの様子を細部まで確認し、適切なアドバイスができるようになりました。RICOH Remote Fieldを使うと、教室全体を360°俯瞰で見ることも、子供たちのすぐ側から見守ることもできるのがいい ですね。例えば文字を書く授業でも、手元だけを見るわけではありません。教室の物の配置を見て、ちゃんと座る ことができているか足元を見て、それから手元、指先、と一つひとつ確認していく必要があります。細かな点まで 確認できるようになったことで、リモートで支援できる範囲も広がりました。体育でも教科でも、授業の種類を問 わずRICOH Remote Fieldを活用しています。 適切なアドバイスをすることで、子供たちは驚くほど成長していきます。子供たちが成長すると現場の先生が喜び、 ご家族ももちろん喜んでくれます。そして、この喜びが次の一歩を踏み出す力となり、子供たちの可能性は学校の 外へ、地域社会にも広がっていきます。こうした効果が、現場の先生の間で口コミで広がり、うちの学校にもぜひ RICOH Remote Fieldを導入してほしいという声をたくさんいただいています。

文部科学省や教育委員会、特別支援学校の校長先生など関係者が一堂に会する「全国肢体不自 由教育研究協議会」でRICOH Remote Fieldの取り組みを紹介し、大きな反響があったそうで すね。

はい。記念講演を依頼され、「ウェルビーイングの視点で考えるこれからの肢体不自由教育」をテーマにお話しす る中で、RICOH Remote Fieldの取り組みについて紹介しました。 ウェルビーイングとは、身体的・精神的・社会的に良好な状態であることを意味する言葉で、令和5年に閣議決定 された教育振興基本計画では、コンセプトの一つとして「ウェルビーイングの向上」が掲げられています。私は、 特別支援学校と専門家をつなぐRICOH Remote Fieldは、物理的・時間的制約を超えてウェルビーイングを実現し てくれるツールだと思うのです。講演の中でRICOH Remote Fieldを使った取り組みが子供たち、学校、家族、地 域にもたらしている変化を紹介したところ、皆様から大きな反響をいただきました。それだけ特別支援教育のニー ズは高く、専門的知見に基づいたサポートが必要とされている、ということだと思います。

今後についてお聞かせください。

専門家のサポートを必要としている特別支援学校は島根県に限らず、全国にたくさんあります。今後は、島根県内 での活動を進化させていくのはもちろん、全国にネットワークを持つリコージャパンにも協力してもらいながら、 RICOH Remote Fieldを使った「島根モデル」を全国へ広げていけたらと思っています。

写真右:公立大学法人 島根県立大学 特別支援教育学研究室 教授 西村 健一 様
            写真左:リコージャパン株式会社 島根支社 事業戦略部 ICTソリューション1グループ 上原 直美
写真右:公立大学法人 島根県立大学 特別支援教育学研究室 教授 西村 健一 様
写真左:リコージャパン株式会社 島根支社 事業戦略部 ICTソリューション1グループ 上原 直美

5.お客様プロフィールと導入ソリューション

公立大学法人 島根県立大学 様

公立大学法人 島根県立大学 様

ホームページ
https://www.u-shimane.ac.jp/

会社所在地
島根県松江市浜乃木7-24-2

事業内容
2007年設立。浜田、出雲、松江にキャンパスを置き、各専門領域における研 究活動に加え、地域社会との連携、地域創生につながる取り組みも多数展 開。

導入製品

■製品構成:

RICOH Remote Field
RICOH THETA

  • 本Webページ記載の会社名および製品名は、それぞれ各社の商号、商標または登録商標です。
  • 本ページに掲載されている情報は、2024年3月現在のものです。